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パリの夜道の危険

 2014/05/29 パリ
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パリの夜道は十分に気をつけなさいとはよく言われるものだけれど、一度こわい目に遭ったことがあった。

悪名高いbellevilleに住んでいたときのこと。レストランに勤めていた仕事柄、帰宅は決まって深夜0時を回った。その日は土曜で特に遅く、1時近くのことだった。パリは東京と違い、夜は夜らしく明かりが落ちて暗くなる。眠る時間は眠る。そういうところであるから、人気のない道は本当に一人ぼっち。

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いつものルートで地下鉄の駅からアパートに戻り、エントランスの扉を開けて、キーをかざし内側の扉を開ける瞬間。男に肩を掴まれ、扉を開けたまま私を押し倒した。首を絞め、私のポシェットを奪おうとしたのだ。自分のアパートの部屋に続く階段の元で、強盗に遭ったのだ。

多分、夜遅くに帰宅する私の姿を何日も見ていたのだろうと思う。

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盗られるものかと必死で抵抗し声を上げると、誰かが近づいてきた。しかし助けではなく、強盗の仲間だった。1人が首を絞めたまま、もう1人はポシェットを引きちぎり、走り去っていった。

そのポシェットは、祖父の形見である大切なものだったので、呆然としながらも犯人である黒人男性2人を追いかけた。が、どちらに走っていったかすら分からなかった。財布、携帯電話、定期、電子辞書…盗まれないようにと肩からかけて持ち歩いていた貴重品達は、引きちぎられて奪われてしまった。

不幸中の幸いだったのが、家の鍵だけは奪われなかったバッグに入っていたこと。そして、日本人がよく盗難に遭うi-podは床に散らばったままだった。

その地域は、ダイレクトに現金を欲しがる強盗のグループがあるらしく、狙うのは財布のみ。アジア人は現金をたくさんもっている中国人だと全て判断され、襲われる。

アメリカン・ホスピタルに行ったときに、フランスに30年近く滞在されている女医さんに言われたことの中に、ポシェットは貴重品を守るためには効果的だけれど、身を守るという意味では返って危険だという言葉があった。命が欲しいのではなく金銭が欲しい強盗に対して抵抗をしてしまうと、金銭を奪うために体を暴行されることがある。実際に夢を追ってパリに住む日本人の中でも、そういったことで表に出られなくなって苦しむ人はたくさんいるのだと。

私は幸い、周囲の人達のやさしさで乗り越えることができた。アジア人、白人、黒人と人種は様々。困っている自分の力になってくれた人のおかげでフランスでの暮らしを続けることができた。1人では何もできない無力さと力をくれる人への感謝で、このときは心がいっぱいだった。

この事件をきっかけに、治安の良い場所に住居を移し、深夜働くのを辞めた。当時のレストランの仕事を手放さなければいけなかったのは悔しかったけれど、ビザも5ヶ月あったので積極的に仕事を探し、おかげでその後6店舗のレストランで勤務・研修を経験することができた。そして、たくさんの人に出会うことができた。

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過ぎてみれば、物事は捉えようだけれど、悪いことの中にも良いことは必ず潜んでいる。私はこの事件から、そう思うようになった。

私自身、それでも日本に帰ろうとしなかったことや、どんな目に遭ってもまたパリに来たいという人が後を絶たないということを思うと、それだけ魅力的な都市なんだと思う。

危険とされる区域に夜遅く立ち入らないこと、荷物管理の方法や、日本人がどんな風に見られているかということを、良いことだけでなく私なりに分かることを、パリを訪れる人には必ず伝えるようにしている。

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